NISA(ニーサ)と節税②
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NISA(ニーサ)と節税②

2013年07月29日(月)9:04 PM

第二回目の今回は「NISA口座の問題点。必ずしも節税にならないこと」についての記事です。

よろしければ、第一回目もご覧ください。

NISA
口座は非課税口座ですので、「税金ゼロだし、必ず節税になる!」と思われている方もいるのではないでしょうか?

しかし、そうではないのです。
2点、取り上げたいと思います。


1.NISA
口座での「売却損」は「他の売却益や配当金」と損益通算できません。

NISA
口座では、「売却益や配当金について、非課税としてあげるかわりに、売却損が出ても、無視しますよ」ということになっています。

つまり、「通常の特定口座の株式等の売却益や配当金」と「
NISA口座での売却損」を相殺して、税金を少なくすることはできませんということです。(これを損益通算ができないといいます)

通常の特定口座で、売却損が出てしまった場合には、他の株式等の売却益や配当金と相殺★1することにより、利益を圧縮して、税金を安くできます。
さらに、売却損が大きく、その年だけでは相殺しきれない場合、その損は3年間繰越しできますので、翌年以降の売却益や配当金とも通算できます。(確定申告が必要です)

株式等は「上がる」「下がる」の予測がつかないものですので、やむなく損がでてしまうことはよくあります。

しかし、
NISA口座を使うことにより、株式等で損がでてしまった場合には、損益通算ができずに損をしてしまうのです。

NISA口座で売却損が出てしまった場合は、通常の特定口座で持っていた方が節税になったということです。



2.NISA
口座を利用したせいで、利益がでていないのに税金がとられることがあります。

損益通算ができない損だけではなく、
NISA口座ではさらに不合理なことが起こります。

利益がでていないのに税金がとられてしまうことがあります。

100
万円で買った株式を同じ100万円で売っているのに、税金をとられてしまうことがあるのです。

例を挙げて、みてみます。

100
万円で買った株式が半年で50万円に下がってしまいました。

「こういうことってありますよね。」

「これはもう塩漬け確定です。」

そして、従来であれば、
100万円に戻ってくるまで、5年でも10年でも、辛抱強く待つということもできました。

しかし、NISA口座でそれをすると、税金上損をしてしまうことがあるのです。

どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?

NISA口座の非課税期間は5年間で
②その期間が終わると、「特定口座に振替」をするか、「新たなNISA口座に振替」をしないといけません。(これは強制です)

この5年後の強制的に振替というのが問題で、税務上は「振替の時の価額(時価)が振替先での取得価額」に変更されてしまいます。


言い換えますと、塩漬けのままであっても、5年後の振替の時に新しくその株式を買ったことになって、取得価額が強制的に変更されてしまうから、損をしてしまうのです。



例の続きでみた方がわかりやすいと思います。


100万円で買った株式の5年後の値段も50万円だったと仮定します。

「損をしていますし、まだ売りたくはありません。しかし、振替をしなければいけません。」

仕方がないので、通常の特定口座への振替を選択したとします。
(新たなNISA口座への振替を選択した場合、問題は生じません)

振替前までは、その株式の取得価額は
100万円でした。(100万円で買っていますので、当たり前です)

しかし、この振替をしますと、「新しくその株式を買ったこと」にされますので、取得価額が時価である
50万円に勝手に変更されてしまいます。

そして、
10年後に運よく、値段が100万円に戻ったと仮定します。

「やれやれの売りですね。」

しかし、取得価額が
50万円に変更されたおかげで、10万円の税金がとられてしまいます。


100
万円(売却)-50万円(取得価額)=50万円(利益)
50万円×20%(税率)=10万円

この株式は
10年前に100万円で買っています。そして、最終的には100万円で売っています。

本来の利益はゼロだったのですが、税金は
10万円納めることになります。

NISA
口座を使うと、このように不合理なことも、起こってしまうのです。

NISA
口座は良いことばかりではなく、このように損をしてしまうこともありますので、記載させていただきました。

ただ、デメリットもありますが、株式等が「上がる」か「下がる」かの予測は難しいですし、どのような株式等を
NISA口座で運用するかによっても、結果は変わってきます。

私個人的には「デメリットもありますが、非課税になる
NISA口座を積極的に利用する方が、節税になる可能性は高いのではないか」と考えております。



★注意★
特定口座内の株式等の利益や配当金の状況等によっては、必ずしもこの記事通りの結果になるとは限りませんので、ご了承ください。

★1
2016
年からは特定公社債等の利子とも損益通算ができるようになります。

復興特別所得税は除いて計算しています。
本来の税率は2013年は10.147%2014年以降は20.315%になります。



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