法人設立前の費用
会社の設立前や、会社の設立後、事業を開始するまで(お店がオープンするまで)に色々な費用がでてきます。
「会社設立前に支出した費用は経費にならないのでは?」
と疑問に思うかもしれませんので、税務の観点から記載しようと思います。
1.会社設立前の費用
①創立費に該当すれば、いつでも経費になります。
②創立費に該当しなくても、原則、設立初年度の経費になります。
設立期間があまりに長かったり、法人成りの場合は、認められないことがあります。
法人税基本通達2-6-2(法人の設立期間中の損益の帰属)
2.設立から開業までの費用
①開業費に該当すれば、いつでも経費になります。
②開業費に該当しなくても、原則、設立初年度の経費になります。
3.まとめ
会社の設立前から開業までに支出した費用は、法人の事業活動に関係するものであれば全て経費になりま す。(個人的なものはもちろんダメです)
そこで
「結局、経費になるなら、創立費や開業費にするメリットは何?」
という疑問がでてきます。
「メリットはいつでも経費にできる」ことです。
どういうことかと言いますと、
1.創立費や開業費に該当する費用の場合は
①1年目に全額を経費にする。(一部でも構いません)
②1年目は赤字だから経費にしないで、繰越しをして2年目以降、利益がでた時に経費にする。
というように経費にする時期を法人で自由に選択できるのです。
2..創立費や開業費に該当しない費用の場合は
①1年目に全額を経費にする。(赤字だったとしても)
という選択肢しかありません。(繰越しはできないということです)
したがって、創立費や開業費に該当すれば、ちょっとした節税になります。
ただし、青色申告の法人であれば、赤字自体、9年間繰り越せます。
「なら、どっちでもいいよ」
と思わるかもしれませんが、極端な話、ずっと赤字であれば、10年目には繰越しをしてきた赤字が消えてしまいます。
創立費や開業費にしておけば、10年後でも15年後でも、いつでも経費にできるのです。
また、創立費や開業費を経費にしなければ、もともとが赤字決算でも、さらなる、大赤字の決算にならずに決算書の見栄えもよくなります。
青色申告の届出を提出し損ねている場合もあります。(青色申告でないと赤字の繰越し自体が原則できません)
したがって、適正な処理をしたほうがもちろんよいのです。
こういう特典があるので、税務上、創立費や開業費になるものは限定されています。
何が創立費になるか?開業費になるか?についてはまたの機会に記載しようと思います。
長々と書いてしまいましたが、
この記事の一番のポイントは会社の設立前でも、開業前でも、会社の事業活動に関係する費用は時期は違えど、経費になるということです。
したがって、設立前でも、領収書、請求書などの書類はきちんと管理、保存をしておくことが重要になってくるのです。
(注)資産になるもの(高額なパソコン、車)などは何年かに分けて経費にしないといけません。また、店舗の保証金などは経費にはなりませんので、ご留意ください。